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自分の歳は自分で決める。成熟世代のアンチエイジングサイト”モンナージュ” 最新号 BACK NUMBER
メッセンジャー
執筆者:モンナージュ編集部
アンチエイジングにつながるいろいろなコト
カルチャー
作品空間の中でおもいっきり楽しむ!

 最近、あちこちで目にする「インスタレーション」形式の展覧会。1970年代から始まったというインスタレーションですが、これは彫刻や絵画などの展示物ではなく、作品とそれを含む空間・環境を総体として呼ばれています。空間自体が作品、とでも言うべきでしょうか。
 インスタレーションなどと言うと、何やら難しいもののように聞こえますが、要は「童心に返って、空間で遊んじゃえ!」っていう楽しみ方でいいと思います。大人になると物事に慣れてしまい、子供の頃の純粋な「ドキドキ」や「ワクワク」って徐々に薄れていってしまうもの。でもインスタレーションは、大人でもまだ見たこと・体験したことのない「未知の世界」を呈示してくれます。だから、ウキウキしたり、ハッとしたり、へ〜、なるほど〜!と素直に楽しめちゃう。空間を歩き回ったり、作品に触れたりしているうちに、新鮮な感覚が生き生きとよみがえって来ることでしょう。心を「ワクワク」で満たして感性を潤しておくことも、アンチエイジングには欠かせない大切な要素なのです。
 冬場は美しい花や生い茂る緑もなく、暗くて寒い毎日に感性も縮こまってしまいがち。そんな時、初台のオペラシティにあるICC(NTTインターコミュニケーション・センター)にて、「光」をテーマにしたインスタレーション形式の展覧会、「ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚」が開催されていると聞いたモンナージュスタッフ。さっそく体験しに行って来ました!

 インスタレーション型の展覧会としては、Vol.03のCulture「大型美術展の開催ラッシュ! 本物を観て感性を磨いて ココロのアンチエイジング」にてご紹介した、「カルティエ現代美術財団コレクション展」が強く印象に残っているモンナージュスタッフ。それまで現代美術やインスタレーションに対して「何だかよくワケが分からないモノ」という印象を抱いていたのですが、カルティエ展を通してその発想の自由さ、美しさ、奇抜さ、楽しさ、シュールさに驚き、すっかりインスタレーションのとりこになってしまいました。今回の展覧会では、一体どんな体験ができるのかしら? ドキドキしながら会場に向かいます。

 今回モンナージュスタッフが体験に訪れたICC(NTTインターコミュニケーション・センター)は、Vol.18のCulture「五感を研ぎ澄ませてみよう!」でもご紹介したことのある施設です。ICCの「オープンスペース」では「アート&テクノロジーゾーン」「研究開発コーナー」「ネットワークゾーン」などのコーナーがあり、十数点の作品が無料で鑑賞できます。今回の「ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚」展は、その中のギャラリーAなどにて有料(一般500円)で公開されている企画展なのです。

 作品空間を通して「観察(sight)」から「洞察(insight)」を導き出す……それが今回の企画展に込められたメッセージだそうです。インスタレーションは12作品と、数こそあまり多くはないものの、いずれも文字通りセンスが「光る」、新鮮な作品ばかり。驚いたり、感心したり、考え込んだりしながら見て回りました。モンナージュスタッフの印象に強く残った作品を、いくつかピックアップしてご紹介しますね。

《サンキュウーインストゥルメント》 撮影:木奥恵三
2 《サンキュウーインストゥルメント》 撮影:木奥恵三  
 
1

自分の影と戯れる……
「サンキュウーインストゥルメント」

 黒いカーテンを開けて入ると、薄暗い長方形の部屋があります。壁にあるストロボに背中を向けて佇むことしばし、ストロボが「ピカッ!」と強烈な光を発した瞬間、それまで自分が佇んでいた場所に、「自分の影」が焼き付けられます。
 残された影から少し離れて、しげしげと自分の影を見てみると……影を無くしたピーター・パンの気持ちは、こんな感じだったのかしら? まるで自分の影から実体が置き去りにされたような、幽体離脱してしまったような、何とも心もとない不思議な感覚なのです。足下はくっきり、頭の方はぼんやりした影になり、靴のかかとの形まではっきり残ります。
 ぜひとも色々な格好をして、「影の彫刻」を作って遊んでみましょう。ただしその際に、くれぐれもストロボを直視しないように、気をつけて下さい。
 楽しく影を作って遊びつつも、この作品の背景には「広島の原爆」というコンセプトがあることに思いを馳せると、複雑な気持ちになります。原爆が投下された直後の強烈な閃光で、影を残して瞬時に消えてしまった人々……それを疑似体験することで、「諸刃の剣」でもある光の持つ力について、再考させられます。
 次にストロボが光った時、さっきまであった影は消えて、また自分の足下に新たな影が現れていました。自分の影を部屋に置き去りにして、次の展示へと進みます。

《サンキュウーインストゥルメント》 撮影:木奥恵三
モンナージュスタッフの眼の画像は、こんな感じ!
2 上:《サンキュウーインストゥルメント》 撮影:木奥恵三
下:モンナージュスタッフの眼の画像は、こんな感じ!
 
 
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自分の眼が作品に?……
「思考プロジェクター」

 また黒いカーテンを開けて入ってみると、そこは左側、正面、右側に大きなスクリーンのある部屋でした。中央に、何やら眼科の検査時に使うような装置が置いてあります。
 このインスタレーション、体験者が自分の眼の表面と眼底の高解像度画像をスタッフの方に撮ってもらい、それを正面のスクリーンで拡大して見られるというもの。更に、アーティストが制作した映像と二重写しした「作品」が左側のスクリーンに、インターネットにてコメントが追加されたものが右側のスクリーンに映し出されるという、3段階のプロセスを経る作品なのです。
 タイトルの「思考プロジェクター」ですが、これは発明家のニコラ・テスラによる「体験者の思考を(網膜を通して)撮影するカメラ」という構想から発想を得た作品、という意味だそうです(構想自体は実現されなかったとか……残念!)。
 さて、椅子に座って、いざ体験。スタッフに眼の表面と眼底を、フラッシュを焚いて撮影してもらいます。スクリーンに映し出されたのは、拡大された眼の表面と、初めて見る自分の眼底の画像。「これが視神経で、これとこれが動脈と静脈、このあたりが黄斑です」などとスタッフに説明して頂き感心していると、左のスクリーンにアーティスティックな処理をされた眼の画像が出て来ます。
 最後に頂くのが「ダウンロードチケット」。サイトにアクセスして、チケット番号を入力すると、自分の眼底ポートレイトをダウンロードすることができます。家に帰っても作品と繋がっている不思議。

《space-speech-speed》撮影:木奥恵三
2 《space-speech-speed》撮影:木奥恵三  
 
3

めくるめく光のメリーゴーランド……
「space-speech-speed」

 部屋に一歩足を踏み入れるやいなや、思わず「おお!」と声を上げてしまいます。空中に吊された3つのミラーボールが光を浴びて回転し、さながら「光のメリーゴーランド」といった様子。これだけ空間に光が満ちていると、恍惚としてしまいます。空間(Space)の中で光としての文字(Speech)が、ダイナミックな動き(Speed)をともなって循環するというのが、この作品のタイトルの意味です。しかし、仮にコンセプトを知らなかったとしても、キラキラ光る空間に身を置くことで、人それぞれ「きれい」「楽しい」など感じるものがあると思います。

4

眼を閉じても光が見える?……
「PRINTED EYE(LIGHT)」

 壁に顕微鏡のような装置が取り付けられています。レンズをのぞき込んで、横にあるボタンを押してみると……フラッシュが光り、同時に「LIGHT」という光文字が網膜に焼き付けられます。
 それからしばらくの間、壁を見ても「LIGHT」、床を見ても「LIGHT」、眼を閉じても「LIGHT」という状態が続きます。眼を閉じても光が見えるなんて、何ともユニークではありませんか? 他の人には見えない、自分だけに見える作品というのも、なかなか趣があります。

5

光の壁を突き抜ける!
……「You and I, Horizontal」

 「壁面には、ラインによるドローイングが見た目には変化がないほどゆっくり描かれ続け、それが空間においては、次第に形態や空間性を変容させる三次元の非物質的『彫刻』としてあらわれている」……入り口で説明を読んでいたら、頭の中が「?」でいっぱいになったので、とりあえずカーテンを開けて部屋に入ってみました。すると……「!」
 映画館のような感じの暗い部屋の中は細かいミストで満たされており、部屋の奥から光線が投げかけられて、入り口横の壁に不思議な線の模様を描いています。その模様はゆっくり形を変え続けており、生きている光の彫刻といった感じです。
 横から見ると光線が光でできた壁のように見え、その壁を突き抜けて中に入ったり出たりできます。なんだか透明人間になったよう。光の壁の表面では、ミストが波のような形を作っていて、とてもきれい。自分が出入りすることで、光の壁もまた形を変えていく……まさに体験型の作品です。

 インスタレーションの大きな魅力は、展示場に「非日常」的な空間が現れること。その中に自分が実際に入って体験してみることで、ただ見ているだけの作品とは全く違った楽しみ方ができます。自分が作品に入り込み、作品自体になってしまう……まるで「不思議の国のアリス」のように。それにより、作品をより身近に感じることができるのではないでしょうか。
 よりリアルに作品世界を体験できる、三次元的な芸術・インスタレーション。人気の理由は、芸術的な意義もさることながら、ちょっぴりお疲れ気味の大人が童心に返って刺激を受け、リフレッシュできるからなのかもしれませんね。

※お時間のある方は、ICCの「オープンスペース」にも、ぜひ足を運んでみて。新たな発見と感動が味わえます!

 information
「ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚」展 NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2
東京オペラシティタワー4階
フリーダイヤル: 0120-144199
HP:http://www.ntticc.or.jp

「ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚」展
会期:2008年12月6日(土)〜2009年2月28日(土)
開館時間;午前10時―午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日)
 
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