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ヴォイス
岩本麻奈先生のパリ談義 岩本麻奈先生のパリ談義
パリと日本を往復している岩本麻奈先生、今年で在仏10年になるそうです。そんな麻奈先生、先ほど来日した際に、モンナージュ編集長寺山と楽しく会食。ワイワイと交わされたおしゃべりの中に、パリの人々や文化など興味深い会話がありました。せっかくなので、一部公開しちゃいます。

寺山いく子編集長(以下寺山):
フランスで唯一浸透したアメリカのブランドがGAPですよね。でも私たちが知っているGAPと値段は一緒だけど、ラインナップが違う。色遣いがぜんぜん違うんです。

岩本麻奈先生(以下、麻奈):
落ち着いた色が多いでしょう。何というのか、色のグラデーションのかけ方...風景に溶け込む色というのか。奇抜でもなければ、地味でもない色、浮かない色遣いって、ホント、フランス人ならではなんです。奇抜な色だとしても、それがちゃんと街の中に溶け込んでいく。とてもカッコイイですよね。

寺山:
ヨーロッパの車の色の良さも、これに共通していますね。色の使い方もとてもリベラル。男の子でもピンクを着るし、女の子でもブルーを着る。小さい男の子が赤いセーターにストライプのシャツなんか着てると「このイケメン〜!」なんて思っちゃう(笑)。

岩本麻奈先生

麻奈:
このバランス感覚って文化ですよね。だからパリで素敵と感じた色をそのまま日本に持ってきても似合わない。特に日本のネオンには、フランス色は似合わない...。

寺山:
例えば、京都みたいに建造物や配色の厳しい規制がないと難しいですよね。

麻奈:
コンコルドラファイエットホテルや、エッフェル塔に登るとわかるんですが、パリって非常に建物が統一されている。色も形だけじゃなく、デザインや質感とかも。気持ち悪いぐらいにベターッと統一されきってる(笑)。フランス人はそんな文化の中で暮らしているから、実は日本みたいなゴチャゴチャが好き。お台場なんかはおもちゃ箱みたいで刺激的なんですって。ガチャガチャして未来っぽく見えるネオンとか、ゴスロリとかのコスプレに東京イズム、カルチャーを求めているところがありますね。日本とフランス、お互いにないものねだり(笑)。

寺山:
そうですね。パリにはコンビニもネオンもない。観光客用のコンビニは一応あるけれど、間口が狭くて目立たないようになっていたのが印象的。夜、色場なんかに行くと街灯がすごくキレイでした。「きっと300年前もこうだったんだろうな」って感じ入ってしまった。そこを歩くナポレオンが見えるようでした。

麻奈:
日本は木造なので、30年や40年で建物が変わっていくでしょ。今私が住んでいる建物は築300年です。隣はなんと築500年! 地震もないし、石でできているからそれだけの月日は保てます。建物の中をどんどんリノベーションして使い続けています。おじいちゃんやおばあちゃん、そのまたおじいちゃんおばあちゃんと同じ空間で暮らしている。そういう習慣が、古いモノを大切にする感覚として根付いている。親が子どもに教えていくように、長い時間を積み上げながら、身につけていく文化だと思う。街並みを見ながら吸収していくんだと思う。

寺山:
精神的にそういうのって、落ち着くと思う。街中を見ても、張り替え店がいっぱいありますよね。日本は新しいこと・若いこと・奇抜なことが好き。「あれ知ってる?」「うん知ってる」な、ムラハチにされたくない、横並びの文化。一方でフランスは、ひとりひとりがしっかりしているというのか...。

麻奈:
フランス語って、語順が日本と違うのです。私はYes、私はNoから言葉が始まるので、日本語のように話をしている途中で考え を調整するってことができないんです。それに、日本のような島国ではなく、陸続きの侵略しあう文化を持っているから、自己主張しないとやっていけない。

寺山:
なるほど〜! だから言葉でどんどん主張して、意見を通していくんですね。だから個々がしっかりしているのか...。

岩本麻奈先生

麻奈:
でも、日本人のように、「空気を読む」ことや「1を聞いて10を知る」ができない人たちです。ぜーんぶ言葉で説明しないとわからない。『さすがにわかっただろう』と説明を途中で止めてしまうと、やっぱりわかっていないので、大変なことになる(笑)。いい、悪いじゃなくてそういう文化なんです。

寺山:
あ、確かに。私も昔の上司がそうでした。私から言わせると「言わなくても、わかるじゃん!!」って(笑)。麻奈先生は、フランスに住まわれるようになって10年と伺いましたが、いかがですか?

麻奈:
パリに住んで最初の3年は発見とショックの連続でした。「なんだかパリってスゴイぞ!」って。そしてすごくフランスが好きな時がありました。その次は日本がすごく良く見える時期が来て、今やっと日本とフランスを対等に見て分析できるようになりました。

寺山:
日本のビジネスと、フランスのビジネスは大きく違うし、交渉の仕方も違いますよね

麻奈:そうですね。でもフランスは日本から見たら、いいマーケットなんです。フランスの商品を、例えば東欧に持っていっても、質より値段で判断されてしまう。安いものしか買わないんです。でも日本は質を見て買うか買わないか決めるので、高くても買ってもらえる。日本から見たフランス、フランスから見た日本、両方とも非常に興味深いです。


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