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自分の歳は自分で決める。成熟世代のアンチエイジングサイト”モンナージュ” 最新号 BACK NUMBER
メッセンジャー
内科医 銀座アンチエイジングラボラトリー所長 森田 祐二先生
ドクター監修のアンチエイジングトピック
メディカル
タバコを卒業しませんか?
「アンチエイジングにタバコは不要」・・・、喫煙組の方々は重々わかっていると思います。「そんな話聞きたくなーい!」という人は、まぁしょうがない。ですが「タバコ、ホントは止めたいのになかなか・・・」の人は、少々頑張って読んでみてください。モンナージュメッセンジャーの森田祐二先生に、タバコと上手にサヨナラするコツを中心に寄稿していただきました。
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禁煙を成功に導く条件

 禁煙を妨げる2つの大きな要因として、身体的依存と心理的依存があります。前者はニコチンの薬物依存であり、後者は長い間の喫煙習慣による条件反射、あるいはクセといったものです。「意志が強ければ禁煙できる」逆にいえば「禁煙できないのは意思が弱いから」という精神論での禁煙はなかなか成功しません。ひとまずうまくいっても長続きしない場合が多いようです。
禁煙を成功に導く3つの条件は、(1)やる気(2)自信(3)ノウハウです。この3つを持つことによって、意思の強弱にかかわらずどなたでも禁煙することができます。

 まず禁煙する理由を明確にする、すなわち、動機をはっきりさせることでやる気を持ち固めることができます。禁煙を始める際に禁煙日記を作り、その冒頭に文字にして記載するとよいでしょう。一生吸わないぞ!と力まずに、今日一日禁煙してみようというように、達成可能な身近な目標を繰り返し設定しましょう。最初は小さかった自信も、目標を一つ一つクリアする毎に確実に高まっていきます。禁煙は一日一日の積み重ねと考えましょう。そのように考えれば、例えある時点で失敗しても一日前に戻ってやり直せばいいのです。それまでの努力の軌跡は消えるものではありません。自己嫌悪に陥ることなく新たな気持ちで、そして力まずにまた始めてください。
タバコによる病気
 近年肺癌で死亡する人が急増し、数年前から全ての癌の中で肺癌死は1位になっています。また、喫煙により肺が次第に破壊され、そのまま吸い続けると息切れが強くなり、最後には呼吸困難から窒息死に至る慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)という病気も急速に増加してきています。最近の調査では、潜在患者を含めると530万人と推定され、近い将来北米 のように国民病として社会問題になるものと予想されています。
 これらの肺の病気をはじめ、心筋梗塞、脳卒中、胃潰瘍などの喫煙関連疾患の増加や、医療費、火災等タバコに係る経済損失が深刻化してきたことから、欧米先進国に遅れること数十年にしてようやく我国においても喫煙対策に目が向けられるようになってきました。
タバコに含まれる化学物質
 タバコの中には4000種類もの化学物質が含まれていますが、そのうち有害物質は200種類、発癌物質は60種類以上といわれています。有害物質の代表格であるニコチンは、心臓や血管に作用する依存性薬物ですが、その依存性はアルコールよりもはるかに強く、ヘロインと同等といわれています。タールは有機物が燃焼するときに生じるもので、単一の化学物質ではありません。ニコチンや発癌物質のカドミウム、ベンツピレンなどはこのタールの中に含まれています。
 不完全燃焼により発生する一酸化炭素も代表的な有害物質であり、ヘモグロビンと酸素との結合をじゃまして、全身の酸欠状態を引き起こしたり、動脈硬化を促進します。一酸化炭素に係る環境基準は10 ppm 以下ですが、タバコを吸わない人では、吐いた息の中の一酸化炭素の濃度は1―3ppm 程度であるのに対し、喫煙者では基準を上回り、中には50 ppmを超える人もいます。ここまでくると火事場にいるのと同じようなもので、中毒死一歩手前?ということになります。一酸化炭素をはじめダイオキシンやアンモニア、窒素化合物などはガス層に含まれているため、タールに含まれる物質のようにフィルターや空気清浄機では除去することができません。
タバコの心身への影響
タバコは化学的には毒の缶詰としかいいようのない代物ですが、具体的にはどのような影響を心身に及ぼすのでしょうか。急性の影響としては、咳や痰、血圧上昇(頭痛、頚部痛、ほてり等)、心拍数増加(動悸)、血管の収縮(しびれ感、冷感、むくみ、肩こり等)、食欲の低下の他、口臭の原因にもなります。また、思考力や判断力などの知的活動能力の低下や睡眠障害も引き起こします。
 慢性の影響としては、冒頭で触れた肺気腫や慢性気管支炎などの呼吸器疾患や、血管が硬化し細くなるために、心筋梗塞、脳卒中、痴呆、胃・十二指腸潰瘍、バージャー病(慢性動脈閉塞症)といった病気がみられるようになります。肺癌をはじめとする各種の癌の発症リスクが高まり(肺癌5−15 倍、喉頭癌40 倍)、骨そしょう症、勃起不全、月経異常、歯周病等全身の様々な領域に影響が出てきます。また、肌荒れや皺の増加、脱毛、白髪など老化が5−15 年も早まるといわれています。さらに、喫煙者は非喫煙者に比べると13 ―14 年も寿命が短いという衝撃的な統計報告が、最近米国の疾患管理予防センターから発表されており、健康長寿(死ぬまで元気)を目指すためには、禁煙は必須条件であるといっても過言ではないでしょう。
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禁煙のためのノウハウ

 実際には、やる気と自信があっても、ノウハウを知りそれをじょうずに実践しなければなかなかうまくいきません。吸いたい気持ちをコントロールする、あるいは起こりにくくする方法を身につける必要がありますが、まず第一に、喫煙と結びついている生活の行動パターンを変えるのが効果的です【行動パターン変更法】
例えば、朝起きる前にベッドの中で吸う方であれば、すぐに起きて顔を洗ってください。朝食後に熱いコーヒーを飲みながら一服するのが習慣になっている方では、熱いコーヒーではなく冷たい牛乳を飲む、あるいは何も飲まずにテーブルを離れるというように、行動のパターンや順序を変えることでコントロールすることができます。このためには、事前に自分の喫煙行動パターン(時間、場所、状況)を禁煙日記に記録し把握しておくとよいでしょう。
 禁煙を始める際には、タバコはもちろんのことライターや灰皿などの喫煙具を目に触れない所にかたずける、あるいは処分する必要がありますし、禁煙を開始してから当分の間は(2−4週程度)、吸いたくなる場所や状況は避けてください【環境改善法】。
ここで、酒席での対処法をご紹介しておきます。まず、両隣が非喫煙者の間に席を確保する必要があります。そして、現在禁煙実行中であることを宣言し、あえてタバコや禁煙について話題にしてください。飲み物はアルコールだけではなく、ソフトドリンクを含め数種類用意しておき、飲み換えることで気持ちをコントロールします。すなわち、ワンパターンを避け変化をつけるということです。また、禁煙実行中である目印(タイピン、指輪等何でもけっこうです)を身に付けておくのも抑止効果があります。それでも心配な方は、宴会が始まる直前にニコチンガムを噛んでおくとよいでしょう。
 喫煙のかわりに他の行動を行うのも効果的です【代償行動法】。吸いたくなったとき、水やお茶を飲む、ガムを噛む、飴をなめる、深呼吸する、散歩する等色々ありますが、水やお茶については飲むことが効果的なのではなく、温度刺激を頻回に口に与えることに意義があるのです。したがって、水は冷たくお茶は熱くなければ十分な効果は期待できません。また、運転中にどうしても吸ってしまうという方は、歯ブラシを口の中に入れておくのも一つの方法です。口の中を歯ブラシで占拠し、常に刺激を加えることにより、タバコに手が伸びるのを防ぐことができます。
 人それぞれ合う方法と合わない方法がありますが、【吸いたくなったとき3分間待つ】という方法は、多くの方で効果を発揮します。じーと我慢して待つのではなく、身体を動かして3分間時間を経過させれば吸いたい気持ちはかなり低下します。頭を使いながら手や指を動かすことは、リラックスしているときに現れる脳のα波が消えて喫煙欲求が高まるため、パソコン、囲碁、将棋、マージャン、パチンコ、編物、裁縫などは要注意です。手や指ではなく、腕全体を動かす(ストレッチ体操、深呼吸)、足を動かす(歩く、走る)、口を動かす(飲む、噛む、食べる、話す、歌う)、皮膚感覚を働かす(顔をたたく、熱いおしぼりで顔をふく、シャワーを浴びる、痛み刺激を加える)、そして、心を動かすことでコントロールしてください。
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ニコチン代替療法

 禁煙すると、依存性薬物であるニコチンが急速に身体から抜けていくため、離脱症状(禁断症状)が出現します。個人差がありますが、ニコチン依存度が高い人ほど(朝目覚めて5分以内に最初の一本を吸う人、二箱以上吸う人)、様々な症状が出現する傾向があります。イライラ、集中力の低下、不安、昼間の眠気、夜間の不眠、便秘、しびれ感、視覚異常(まぶしい、焦点が合わない、二重に見える)、立ちくらみ、除脈、頭痛などですが、禁煙2−5日目をピークに出現し、おおむね2週程度で落ち着きます。しかしながら、人によっては眠気などの一部の症状が長引き、2−3ヶ月も続くことがあります。このような離脱症状は、ニコチンガムやニコチンパッチ(大、中、小の3種)を使うことで、かなりの程度緩和することができます。とくに、ニコチン依存度が中等度以上の方には、これらの単独あるいは併用使用をお勧めしています。
 ニコチン代替療法は、使い方によってはニコチン過量による中毒を来す恐れがありますので、タバコの本数を減らすために行うことはできません。タバコをやめると同時に始めるのが原則であり、状況をみながら段階的に量を減らしていくという方法をとります。使用期間は数日から2ヶ月程度です。尚、ニコチンガムは市販されていますが、ニコチンパッチは医師の処方箋が必要です。
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禁煙のコツ

以上述べてきた吸いたい気持ちのコントロール方法とニコチン代替療法の他に、ぜひ実行していただきたいコツをいくつかご紹介します。
禁煙には本数を減らしていく減煙法と、一度に思い切ってやめる断煙法があります。
減煙法の場合、本数を減らしていくにつれ深く吸う、根元まで吸う、肺にためておく時間を長くとる、フィルターの穴を塞ぎながら吸うといった自己調節を無意識のうちに(あるいは意識的に)するようになります。これは、身体が好みのニコチン血中濃度を覚えており、それを保とうとすることによるものです。また、一本一本が宝物のように思えてきて、吸い終わった直後から次の一本を心待ちにするようになります。すなわち、本数を減らしている割にはニコチンやタールの摂取量はそれ程減少せず、むしろ増加することも少なくありませんし、宝物と化したタバコに振り回される生活を送るようになるわけです。
したがって、断煙法をお勧めすることになりますが、ある程度の本数までなら断煙法の前段階として減煙法を用いてもよいでしょう。しかしながら、少しでも減らしていることに負担を感じたら、無理をせずにそこからは思い切って断煙です。軽いタバコに変えた場合にも自己調節しがちですので注意が必要です。
 誰にも知らせずにこっそりと禁煙すると、例え失敗しても他人からのペナルティがないため、簡単に中断しかねません。中断の歯止めのためにも禁煙宣言してください。但し、大々的に宣言すると妨害行為を受けることがありますので、数人の信頼できる人に伝えるにとどめておくのがよいでしょう。協力者・支援者は必須です。できれば、意地を見せる相手(その人に伝える必要はありません)や一緒に禁煙する人も作りたいものです。禁煙を始めた当初、逆に体調が悪くなったと感じることがありますが、これは、きれいな身体に戻っていく過程の一時的なマイナスの変化です。タバコをやめて悪くなる病気は一つもありませんので、体調不良の原因を禁煙に求めずに、プラスの変化に目を向けるようにしてください。
 先にも述べましたが、禁煙を開始してからは、禁煙実行中であるという何らかの目印を自分なりに決めておくと、吸いたくなったときそれを見ることによる抑止効果が期待できます。禁煙すると多くの人は体重が増えますが、禁煙当初は太っても気にしないようにしてください。ニコチンの離脱症状が落ち着くまでは体重増加には目をつぶり、禁煙に専念すべきです。安定期にはいってから次のステップとして、ダイエットについて本格的に取り組めばよいのです。
 禁煙を継続するための最も重要なコツは、一本だけなら…という誘惑にはぜったいにのらないということを、自分に言い聞かせ続けることです。キーワードは、一本だけのタバコはない!です。禁煙して一年たてば本免許ですが、それまでは仮免許ですので、キーワードを肝に命じて慎重に禁煙を続けてください。

禁煙はスポーツに例えるとマラソンです。ゴールを切ったときの何物にも換えがたい達成感や充実感の獲得を目指して、自分のペースで力まずに走り出してください。失敗してもまた始めればいいのです。禁煙しようという気持ちを持ち続け、何度でもやってみることが大切です。また、一日でも禁煙できたら自分で自分をほめてやってください。禁煙は、一日一日の積み重ねです。

 最後に、究極の秘訣を伝授します。それは、Never give up ! (決して諦めない!)


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