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モンナージュ編集部
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ブックコンシェルジュが提案する、豊かな本の楽しみ方

本は豊かな人生を送る上で、欠かせないもの。朝に通勤電車の中で、お昼休みにランチを食べながら、お風呂に入りながら、夜寝る前にゆっくりと……読むスタイルはそれぞれ違うものの、自分の世界を広げてくれる本を愛してやまない人は多いはず。
本屋さんに行けば、古典的な名作や新刊本など、たくさんの本であふれている。欲しい本をネットで注文すれば、自宅に届けてくれる便利な現代。でも……本を読みたいのに、たくさんの本に囲まれているのに、いや囲まれているからこそ、何を読んだらいいか分からない。そういう方って意外と多いのでは?
そんな迷える人と本との橋渡しをしてくれるのが「ブックコンシェルジュ」。本の紹介のみならず、本を使ったブランディングも手がける注目の存在です。様々な可能性を秘めた本の案内人・渋川直子さんと妹の渋川祐子さんにお会いしました。

ブックコンシェルジュが提案する、豊かな本の楽しみ方

渋川直子さん

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ブックコンシェルジュのお仕事とは?

今回取材させて頂いたのは、渋川直子さんと渋川祐子さんご姉妹。姉の直子さんは、レビュージャパン株式会社の代表取締役。「khipu(キープ)」という本などのレビュー投稿サイトを運営しながら、ブックコンシェルジュとして活躍していらっしゃいます。妹の祐子さんはライターとして書籍・雑誌で書評やルポの執筆を手掛ける傍ら、サイトの運営にも参加していらっしゃいます。本をこよなく愛する、とっても素敵なご姉妹です。
まずは「ブックコンシェルジュって、何?」というところから、取材スタート!

  • 昨年日本での書籍発行点数は約8万点。1990年頃から比べると約2倍に増えています。新刊が急速に増え続け、書店に置かれる本のサイクルがどんどん短くなっている中、自分の読みたい本を探すことが難しくなっています。そういった状況の中、シーンやニーズに合わせて本を選書するのがブックコンシェルジュで、いわば本の案内役といえます。

ショップなどに置く本は、ブックコンシェルジュがチョイスするのでしょうか。

  • そういったケースも徐々に増えてきています。本は読むだけでなく、そのお店や空間全体のブランディングにも関わるもの。例えばスポーツショップなら「スポーツマインド」に関する実用書から関連するビジュアルブックまで選書します。商品そのものだけではなく、お客様に対して総合的にブランドを売るために本を使うのが、そもそもの発想なのです。

そういえば、最近カフェなどで、オシャレな洋書が置いてあるのを見かけます。センスのいい洋書が置いてあると、その空間自体が洗練したものに見えて来るから不思議。

まだ公的な資格などはありませんが、目的やニーズに応じて本を選ぶという仕事は、今後色々な活動の広がりが考えられます。

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書店での新たな試み〜本のナビゲーション〜

ブックコンシェルジュは、空間のブランディングやライブラリーの提案だけでなく、本のナビゲーターとしても新たな試みを行っているそうです。

  • サイトでは1冊の本を紹介するいわゆるPOP的なガイドだけではなく、著者やテーマを軸に様々な本をご紹介する企画を進めています。同様の試みを書店でもスタートしましたが、まだテスト段階で、これから徐々に広げていく予定です。
ブックコンシェルジュが提案する、豊かな本の楽しみ方

渋川祐子さん

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  • 確かに、本の羅列だけだとスルーしちゃう。
    例えば著者つながりなどで紹介されていれば「じゃあ、こっちの作家の本も読んでみよう」って手に取りやすくなりますよね。
  • いわば本のナビゲーションです。カーナビならぬ「本ナビ」ですね。
  • 川端康成みたいな昔から知られている作家なら、本屋さんにコーナーがあるし、代表作を知っているから見つけやすい。でも最近の作家は、文学賞を受賞する前に何を書いていたのか、その後にどんな話題作が出ているのかが分からない。
  • 今、本屋さんの新刊の発行サイクルが早いため、平積みしていたと思ったら、1ヶ月後にはなかったりすることも。そういう時に、どうやって自分の好きな作品を見つけたらいいのか、何を読んだらいいのか分からなくなる。そういう相談をよく聞きます。本が好きな人は自分で本を選べるのですが、読む気はあるけど自分で選べない人には不親切な状況になっているんですよね。
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本屋さんの危機

「出版不況」とは新聞やニュースで時々耳にするキーワード。そうは言っても新刊は続々出ているし、あまりピンと来ませんでしたが、現場はかなり切羽つまった状況のようです。

  • 今、本屋さんも本を売るために日々奮闘していらっしゃいます。新刊はそこそこ売れるけど、書店スタッフが自分たちの目で本を選んで本を置くということが、システム上難しくなっている。本の業界は特殊で、流通業者が間にいるため、その業者が管理しているマーケティングデータを元に配本を決めてしまうのです。置きたい本を並べることができないケースもでてきているようです。
    本屋さんも「これでは売れない」と思い、「本屋大賞」を作って本屋さんが選んだ本を売り出すという試みもしているのですが、結局ベストセラーや有名な本ばかりになり、形骸化している。自分たちで本のポップも書いていますが、ポップが乱立していると、結局何を選んでいいか分からなくなってしまう。
  • ブックコンシェルジュが提案する、豊かな本の楽しみ方
    そういえば、
    太宰治の小説が表紙を変えたら売れたという
    現象があるようです。
  • CDのジャケ買いのようなマーケティングですね。
    全ては「本の危機」に
    端を発しているのでしょうか。
  • そうですね。どんどん本が入ってきて、どんどん返品されて……そのサイクルを回すためには、やっぱりどんどん本を作らなければいけない。妹は単行本も手がけているので、ちゃんと残る本を書かないと良くないと、肌で感じているようです。
  • 簡単に作った本って、簡単に消費されて終わってしまう。
    ちゃんと作られたものかどうかは、読者にも伝わります。その本の存在をうまく知らせることさえできれば、長く売れる本になるでしょうね。
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独立系本屋のススメ

流通業者に管理される書店が多い一方で、店長の品揃えが好きで、お客様が通い続ける本屋さんが、少ないながらあるそうです。

  • こだわりの独立系本屋さんは、テーマを決めて面白い本を自分たちで仕入れている。例えば、青山に「ブッククラブ回(カイ)」というスピリチュアル系の本が多い本屋さんがあります。精神世界系の本の横に経済や社会学の本があり、関連を見たり思考を飛ばしたりする意味では、面白い本の並びです。
  • そういうオリジナルな視点で本をセレクトしている本屋さんも、紹介して頂きたいですね。
    「こんな傾向の本を探したいなら、ここの本屋さんがいいよ」
    と教えて頂けたら、そこから自分で読みたい本を選ぶことができる。
ブックコンシェルジュが提案する、豊かな本の楽しみ方
  • 企業がやっているライブラリも面白いですよ。
    「味の素」や「日清」には食の図書館がありますし、「INAX」には建築関連の本を集めたブックギャラリーがあります。
  • 活字に飢えている時は、大手の本屋さんかAmazonにしか目が行かないので、独立系の本屋さんや、専門図書館に行って触手を広げておきたいもの。
  • 大手の本屋さんでは、
    ざっと新しいものをチェックするにはいいですが、じっくり選ぶにはちょっと疲れちゃいますよね。

「この本屋さんに行けば、いつも自分のお気に入りの本が置いてある」……そんな本屋さんがあれば、何を読んだらいいか迷うこともないのでしょうね。そこから広がっていくコミュニティもあるかもしれません。流通システムが変わって独立系の本屋さんがもっともっと増えたら、出版業界が活性化するのでは? なんて思っちゃいますが、なかなか難しいのでしょうか。

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不況の今だからこそ、読書を!

100年に一度の大不況と言われる今だからこそ「今は本を読んでおいた方がいい時期」とおっしゃいます。

  • 経済状況が悪化し、価値観が変わって来ている。ですので、今後は簡単な処方箋的な本だけではなく、深く考える力を養うための固めの本が売れるように思います。
     人に対することは小説から、考え方は社会学や現代思想の本から得られる。小説を読んで考えていることと、社会学や現代思想の本を読んで、ハッと気付くことに繋がりがあったりするんですよ。今度セットでお薦めしたいですね。
  • 読んでいて同じ感激が繰り返されると、ちゃんと脳は覚えている。
    後から解読できるのは、本の醍醐味ですよね。

それでは最後に、今後の抱負を一言!

  • 当社では、本が中心の参加型レビュー投稿サイト「khipu」と、レビューを書きたくなるような本に出会うための本探し&本棚共有サイト「gradationbooks」の二つを運営していますが、来年春を目処にこの二つのサイトを統合するようなリニューアルを構想中です。
    先日出席したあるセミナーでは、電子書籍に関わっている方、編集者、私のように間接的に本に関わっている方など、色々な方がいましたが、共通して持っていたのが「本屋・出版社が危ない」という危機感でした。サイトを通して人の手や視線が介在したソリューションを体系化できたらいいなと思っています。

本を楽しむヒントを、たくさん頂きました。「本」とは多様な読み方ができる、フレキシブルな存在なのかも。お話を伺ううちに、もっと軽やかに、色んなジャンルの本を読んでみたくなりました。汲めども尽きぬ本の魅力を熟知したお2人にオススメの本と本屋さんを教えていただきましたので、ぜひ読んで&行ってみて、本の魅力に触れてみてください!!
(渋川さんからの文章そのままにご紹介します)

ついつい長居?! ブックカフェのご紹介

◎ Library Lounge THESE
http://www.these-jp.com/
西麻布で10年続く老舗ブックカフェ。大人の深夜の図書館というコンセプトの元、自慢のカレーと本に囲まれた上質な時間が過ごせる。

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◎ Flying books
http://www.flying-books.com/
渋谷古書センター2Fにある海外雑誌やアート系中心の古書店。店内の一角に設けられたカウンターでコーヒーやワインが楽しめる。

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◎ combine
http://www.combine.jp/
店内にところ狭しと並べられた本は、全て中古。お店に古本を持参すると査定次第でビール1杯と交換してもらえる。

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◎ Rainy Day Bookstore & Cafe
http://blog.excite.co.jp/switch-rainy/
雑誌「switch」が運営するカフェ。雑誌の特集に合わせた書籍が並ぶほか、Switchの世界観を表現した幅広く丁寧な選書が揃う。

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静かなる刺激がいっぱい。こだわり書店のご紹介

◎ BOOK CLUB KAI
http://www.these-jp.com/
スピリチュアル系を中心に、経済から哲学まで幅広いジャンルから本を選ぶお店独自の視点が特徴。書棚の本の並びも個性的。

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◎ INAX ブックギャラリー
http://www.inax.co.jp/bookgallery/
ギャラリーのコンセプトに沿った、建築・インテリア・デザイン関連の本が中心。通常の書店にはない品揃えが魅力。

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◎ オンサンデーズ
http://www.watarium.co.jp/onsundays/
ギャラリーに併設された、洋書ビジュアルブックを中心にした書店。ディープな品揃えに通も唸らせる老舗店。

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渋川姉妹の視点。おすすめ書籍のご紹介

● 余韻を楽しむ小説

ドラマチックな展開や、思いがけないオチが無くても、何故か心に残る物語があります。読後、あらためてストーリーに思いを馳せてみたくなるような小説ご紹介します。
『雪沼とその周辺』堀江敏幸/新潮社
◎ 『雪沼とその周辺』堀江敏幸/新潮社
http://www.amazon.co.jp/dp/410447102X/

雪沼という山あいの静かな町を舞台に、そこで暮らす人々の生活を描いた連作小説。著者が紡ぐ言葉は透明感のある美しい音を思わせ、抑制のきいたストーリーと相まって、静かな感動を呼び起こす。第40回谷崎潤一郎賞受賞作。

『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子/筑摩書房
◎ 『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子/筑摩書房
http://www.amazon.co.jp/dp/4480803947/

卒業を控えた大学生のとりとめのない思索や日常を、個性的かつユーモラスに描いた作品。「普通」からはみ出していると感じる者が持つ孤独感や諦念と、そこから一歩踏み出す闘いの物語が、確かな筆力によって丹念に練り込まれた傑作。第21回太宰治賞受賞。

『この本が、世界に存在することに』角田光代/メディアファクトリー
◎ 『この本が、世界に存在することに』角田光代/メディアファクトリー
http://www.amazon.co.jp/dp/4840112592/

(文庫版は『さがしもの』に改題/新潮社)
時として、本はその本に触れた時の感性や記憶をあざやかに蘇らせる装置にもなる。未知なるもの、新たな知識を与えてくれるという本来の魅力だけにとどまらず、本の持つ豊かな世界にふれることができる9つの短編集。

● 本に出会う本

次に何を読むか迷ったら、読書の達人から教えてもらうのも一つ。ジャンルを限定せず、達人の目線をガイドに、新しい本との出会いを楽しんでみてください。
『雪沼とその周辺』堀江敏幸/新潮社
◎ 『文芸時評という感想』荒川洋治/四月社
http://www.amazon.co.jp/dp/4877460977/

産経新聞朝刊に連載した文芸時評を全149編を纏めた本。著者の文学に対する柔軟な姿勢と繊細さが感じられる珠玉の文学ガイド。若い作家やベテラン作家の区別なく、先入観なしで言葉を味わう著者の姿勢に敬服。

『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子/筑摩書房
◎ 『正直書評』豊崎 由美/学習研究社
http://www.amazon.co.jp/dp/4054038727/

「親を質に入れても買って読め!」「図書館で借りられたら読めばー?」「ブックオフで100円で売っていても読むべからず?!」文学賞受賞作も話題作も容赦なく切り捨てる潔さ。愛ある批判に読むべからずでも気になってしまうほど。

『水曜日は狐の書評』狐/筑摩書房
◎ 『水曜日は狐の書評』狐/筑摩書房
http://www.amazon.co.jp/dp/4480039228/

日刊ゲンダイで22年間続いた匿名コラム「狐の書評」をまとめた、狐こと山村修の代表作。取り上げるのは小説からマンガ、写真集と幅広い。本に対する著者の思い入れが、わずか800字からたっぷり伝わってくる、本読みのための書評集。

● 本で味わう「人生曼陀羅」

いろんな時代、いろんな場所で繰り広げられる多彩な人生。人生の面白さ、不可思議さを改めて実感できる、人物伝を集めてみました。
『自伝的女流文壇史』吉屋信子/中央公論新社
◎ 『自伝的女流文壇史』吉屋信子/中央公論新社
http://www.amazon.co.jp/dp/4122045290/

若くして文壇でビューした著者が、一世を風靡した女流作家10名の横顔を鋭い観察眼で描き出す。華やかな人のひそやかなコンプレックス、豪快な人の繊細な心の動き――「文学史なかの人」があざやかに立ち現れる人物伝。

『昭和快女伝 恋は決断力』森まゆみ/文藝春秋社
◎ 『昭和快女伝 恋は決断力』森まゆみ/文藝春秋社
http://www.amazon.co.jp/dp/4167421046/

料理研究家から登山家まで、総勢15人の波乱に満ちた「女の一生」。夫の浮気や離婚にめげず、昭和の時代を力強く生きた姿にふれ、勇気のお裾分けをしてもらえる一冊。あわせて『明治快女伝』『大正快女伝』もどうぞ。

『考える人』坪内祐三/新潮社
◎ 『考える人』坪内祐三/新潮社
http://www.amazon.co.jp/dp/4101226334/

新潮社の季刊誌『考える人』の連載をまとめたもの。小林秀雄や武田百合子、色川武大など16人の作家、評論家の思考の軌跡を辿る。考えることは人の一生にとってどんな意味を持つのか。人生の深遠に思いを巡らせる一冊。

 取材にご協力頂きました
石原先生と 渋川直子さん(右)と、渋川祐子さん(左)
カルチャーレビューサイト「khipu」(キープ)
HP:http://www.khipu.jp

本との新しい出会い「gradationbooks」
HP:http://gradationbooks.com
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