清里フィールドバレエの歴史

劇場だけではなく、野外でもバレエの魅力に触れてほしい……東京都八王子市にあるバレエ団「バレエ　シャンブルウエスト」を主催する、今村博明さんと川口ゆり子さんのそのような想いから、清里フィールドバレエは始まりました。　
清里フィールドバレエを始めるきっかけになったのは、今村博明さんと川口ゆり子さんが、世界各国からスターダンサーが集う、フランスの野外バレエのガラ公演に招待されたこです。爽やかで雨の少ない夏のヨーロッパでは、野外バレエは大人気！　イタリア・ローマの遺跡跡や、イギリス・テムズ川河畔など、ヨーロッパ各地で開催されているので、日本にも野外バレエを定着させたいとお二人は思われたそうです。でも、日本の夏は蒸し暑く、開催が難しいという現状がありました。開催場所を探した結果、「清里高原なら避暑地だし、バレエ公演ができたら素敵では」ということになり、清里フィールドバレエが始まりました。今年で18回目を迎えるとのこと。日本で毎年野外バレエを開催しているのは、このバレエ団だけだそうです。普段「バレエはちょっと敷居が高くて……」と思っている方でも、野外バレエなら足を運びやすいですよね。

野外バレエならではの魅力

では、野外バレエの魅力とは一体なんでしょうか。それはやはり、野外ならではの解放感と臨場感にあると思います。
　いよいよ開幕という時に会場の明かりがふっと消えると、観客席から歓声が上がります。それまで会場の明かりで身をひそめていた満天の星が、シャンデリアのように頭上に輝くからです。野外バレエでは自然が舞台装置。舞台を囲む木々や星空が、そのまま舞台背景になります。『白鳥の湖』や『ジゼル』のような森を舞台にした物語では、本物の木々を前に白鳥や妖精たちが踊り、まるで登場人物や、観客である自分が、実際に物語の世界の中にいるような、不思議な臨場感が味わえます。
　涼しい夜風が心地よく肌をなで、木々のさやぎがBGMになります。時には満月や雷光が見えることも。バレエ公演と同時に、自然が織りなすエンターテインメントショーも楽しむことができます。
蒸し暑い都会にうんざりしたら、清里高原を訪れてみては如何でしょう。澄んだ空気を思いっきり吸い込み、緑の木々や山々に癒され、降って来るような星空を見上げ……そして野外バレエで非日常の空間に身を置くと、感性をリフレッシュできるかもしれませんね。