ピンとハリのある美しいバストは、女性にとって永遠の憧れ。バストを形よくキープするためには、ブラジャーが欠かせません。でも毎回試着をして、ぴったりサイズのブラジャーを買っている人って、意外と少ないらしい。
「試着はどうも面倒くさくって」「自分のサイズは分かっているから大丈夫」なんて思って適当に買っていると、せっかくのバストの形を崩してしまうことも。それに、どうやら年を重ねていくごとにバストのサイズは変わるようなんです。それを知らないでずっと同じサイズのブラジャーを着け続けていると、バストの形が崩れるだけでなく、背中や脇からはみ出したお肉で体のラインに段々ができちゃうかも？
「ブラジャーって、毎回試着しないとダメ？」「ワイヤーのないブラジャーの方が楽そうなんだけど」「年を重ねるとバストのサイズは変わるの？」……様々な疑問が浮かんで来たモンナージュスタッフは、女性下着メーカーの大手「ワコール」にお邪魔して、女性のバストとブラジャーの深〜い関係について伺って来ました！

38歳は「体の曲がり角」？

今回モンナージュスタッフが取材に訪れたのは、女性の下着メーカーの大手、株式会社ワコールです。1946年に「和江商事」として創業したワコールは1949年に株式会社となり、婦人洋装下着メーカーとして成長を遂げました。1964年に発足したワコール人間科学研究所は日本人女性の体型計測を続け、現在までの約40年間に、のべ３万５千人にも及ぶ計測が行われたとか！　４歳から69歳までの女性の体型に関する膨大なデータが集められているそうです。
モンナージュのメインターゲットは30〜50代の女性ですが、この時期は出産や年齢に伴う変化などによって、体型が大きく変化する時期でもあります。それに伴い、バストラインが下がったり、太ってブラジャーからお肉がはみ出たり、なんていうバストまわりの変化も。それでも同じブラジャーでいいのかしら？　ブラジャーのサイズを変えれば改善するの？
女性の体の変化とブラジャーのサイズのお話から、取材はスタートです。

• 30代、40代は、女性の一生の中でも体が劇的に変化する時期です。よく、お肌の曲がり角は25歳と言われていますよね？　体にも曲がり角があって、当社の研究では38歳なんです。一生のうち体型変化は何回もありますが、成人女性では「成長がトップする10代後半」「一番サイズがダウンする20代半ば」「大きく体型が変化する30代後半」と3回あり、中でも30代後半はもっともショッキングな変化を実感することになります。
  40代半ばになると、ホルモンが減少して閉経を迎える時期に差し掛かるなど、生理的にも色々症状が出て来ます。下着選びにおいても、30代と40代では体が変化し、それまで使っていたものが合わなくなる時期。ご自分の体の変化に気を付けて、その時期に最も快適な下着を選ぶ必要があります。
  20代、30代ではデザイン重視で選んでもそれほど苦になりませんが、30代後半からは無理なものを着けていると不快になり、シルエットが崩れて見えてしまいます。肉質も柔らかくなるため、合わないブラジャーにより段差が付きやすくなります。もう少しサイズに敏感になって頂きたいですね。

体型だけでなく、肉質も変わるとは知りませんでした！　柔らかいお肉を締め付けて段差を作らないよう、フィットするブラジャーを選ばなければならないようです。

もっと積極的にブラジャーを使おう！

店頭でアトランダムに調査したところ、70％もの女性が自分のサイズを間違えていたそうです。そして53.5％の女性が、自分のサイズより小さいカップをつけていたとか。

• 毎回、試着や採寸をしない方がとても多く、自分のサイズが「B75」と分かると、次も同じ物を買ってしまうようです。毎回試着することは重要。自分で試着するのと、プロの販売員に見てもらうのとは、やはり違います。プロは「もう１サイズ上げると、こんなに洋服がきれいに着られますよ」と提案してくれますよ。着こなしたいと思うワンピースなどを着て行って、いつものサイズと販売員に提案してもらったサイズを、洋服を着たシルエットで比較してみると分かるでしょう。また、ブラジャーをもう少し積極的に使うと、よりスタイルを良く見せ、メリハリをつけて洋服を綺麗に着こなすことができます。ただフィットしていればいいという保護の意味だけでなく、更にもう一段階、自分を演出するアイテムとしてお使い頂きたいですね。

ということは、着け方にもシルエットを綺麗に見せるコツがあるのでしょうか？

• パッと簡単に着けてしまうと、お肉が脇の下から背中の方に流れてしまいます。それを入れ込まないと、胸が平べったくなってしまい、立体的になりません。流れているお肉を集めて入れて頂くと、カップが１サイズ大きくなります。

キーワードは「スムージング」

では、合わないサイズのブラジャーを着け続けるデメリットについて、詳しくお伺いしてみましょう。カップが小さい場合のデメリットには、どんなものがありますか？

• カップが小さい場合は、ご本人が苦しくて不快を感じ、長時間着続けられないこともあります。さらに小さいカップを着けると一見細く見えそうですが、はみ出したお肉で返ってシルエットを崩してしまい、段差ができて太って見えてしまいます。ですので、30代、40代になってお肉が柔らかくなってきたら、「スムージング」を心がけると印象が違います。
  スムージングとは、体のラインをスッとしたスムーズなラインにすることです。そのためには合った下着を着けるのはもちろんのこと、きついゴムや細いゴムではなく、伸びる素材や面で押さえる作りの下着を着けることが大切です。特にゴムではなくレースを使った下着だと、ラインがフラットになります。30代、40代の方向けの下着には、そういった工夫がされています。洋服を着た時に、ラインが出ないような下着を選ぶだけでも、随分印象が違うと思います。洋服の上から確認して頂くのが一番いいでしょう。

逆に、大きなサイズを着け続けた時のデメリットって、あるのでしょうか？

• 大きなサイズを着けることは、そんなに体に悪くないと思われるかもしれませんが、10年以上大きなサイズを着け続けたことで、胸が変型してしまった方がいます。胸の下のU字の孤が二重顎のようになってしまったのですが、これは下のバストの上にブラジャーが乗っかり続けた結果です。締め付けがお嫌いなため、大きめのノンワイヤーのブラジャーを着けていた方で、本来のアンダーよりブラジャーが上に行き、ブラジャーからお肉がはみ出てしまいました。
  　このように、合わない下着を10年20年と着けていると、ラインを崩してしまうケースも実際にあるのです。崩れた体型を元に戻すのは、産後の時期以外は難しい。一度下がったバストはなかなか戻りませんので、まずはそうならないように気を付けて頂きたいです。

このモニターの方々は32歳から49歳とのこと、まさにモンナージュ世代の間にこの変化が引き起こされている！　ということは、合わないブラジャーを着けていらっしゃるモンナージュの読者の方は、今気付けばそうならずに済むわけです。あなたのプラジャーの着けかたは大丈夫？

20代向けと40代向けのブラジャーの違い

年齢を重ねた女性向けの下着って、色がくすんでいたり、デザインがおばさんぽい感じだったりで、なんとなく敬遠している方も多いのでは。それで、無理に若い女性向けの下着を着け続けて、ラインを崩してしまったりして……。
でも最近、スタイリッシュなミドルエイジ向け下着も出て来ているんです。

• 年齢を経ると、サイズは変わらなくても腹部や背中にお肉が付きやすくなります。また40代になると上半身にお肉が付き、太股から下は筋肉が衰えて細くなる傾向が。60代になると更に筋肉が衰えて、上半身と下半身のアンバランスが顕著になります。このように女性には、単純に太るのとは違う特殊な体型変化があり、当社ではそれをパターンに反映した商品をお作りしています。
  以前はそれが分かりやすい商品にしていましたが、今の40代は20代と感覚が全く変わらないんですよね（笑）。ですので、商品も20代の方用のものとテイストを大きく変えず、明るい色を取り入れ、デコルテを見せる服にも対応し、ストラップも外せるようにしています。

40代向けの「LASEE（ラゼ）」という商品を見せて頂きましたが、20代向けの商品より少しだけシックなものの、色合いやデザインに大きな差はありません。20代の商品と機能的にはどう違うのか、比べてみました。

こちらが40代向け商品「LASEE（ラゼ）」。脇のラインがきれいになるよう、上辺にはゴムを入れず布の輪になっており、面で押さえるようになっています。20代向け商品よりも、幅が少し太めにできています。

上が20代向け商品で、下が40代向け商品「LASEE（ラゼ）」。でも、パッと見ただけでは違いが分かりませんが、よく見ると、20代向けの方がカップの面積が少し小さく、ストラップや脇のラインが少し細くなっています。

肩のストラップも太く、肌への食い込みを軽減しています。若い女性も年齢を問わずこのような機能を気に入って購入している方も多いとか。

汗をかく方のために、内側に通気性のいい肌触りのサラッとした素材を使っています。ワイヤーが直接肌に当たらないよう、布で包んでクッションを作りカバーしてあるのも特徴。

きれいな淡い色合いや肌になじむ色合い、黒やベージュなどのアウターにひびかない色合いと、幅広い色が揃っています。「くすんだ色合いでダサいデザイン」といった、従来のミドルエイジ向け下着のイメージがすっかり覆されました。

ブラジャーに関する、素朴なギモン

ここからはモンナージュスタッフの脳裏に浮かんだ、ブラジャーについての素朴な、でも大切なギモンを色々教えて頂こうと思います。

・デザインによって、同じメーカーでもサイズが違うの？

• 年齢を経ると、サイズは変わらなくても腹部や背中にお肉が付きやすくなります。また40代になると上半身にお肉が付き、太股から下は筋肉が衰えて細くなる傾向が。60代になると更に筋肉が衰えて、上半身と下半身のアンバランスが顕著になります。このように女性には、単純に太るのとは違う特殊な体型変化があり、当社ではそれをパターンに反映した商品をお作りしています。
  以前はそれが分かりやすい商品にしていましたが、今の40代は20代と感覚が全く変わらないんですよね（笑）。ですので、商品も20代の方用のものとテイストを大きく変えず、明るい色を取り入れ、デコルテを見せる服にも対応し、ストラップも外せるようにしています。

・生理前後でブラジャーのサイズは変わるの？

• はい、生理前後で１カップ違うという方はたくさんいらっしゃいます。生理前後で２サイズのブラジャーを使い分けるのは上級者ですが、その方がご自身もラクだと思いまし、それくらいしっかりご自身の体を見詰めて頂きたいですね。ちなみに、以前にCMにご登場頂いた女優さんは、サイズやデザインの違うブラジャーを10枚くらい用意して、その日の体調や洋服に合わせてどれを使うか決められるそうです。

・寝ている間のブラジャーってあるの？

これが寝る時用のブラジャー。スポーツブラのような、締め付けのないタイプのもので、バストが偏らないよう、３方向から優しく支えます。

• はい、あります。ワイヤーも強いゴムも使われていない、一見するとスポーツブラのような感じのものですね。通常、ブラジャーは下から支えるようになっていますが、それは直立することが前提。寝ている時のブラジャーは、胸の内側、外側、顔側の三方向から支えるようにできています。立体的に見せる必要はないので、寝ている間にバストが安定し、一箇所に収まるように作られています。これを着けて寝ると、寝返りを打った時にバストが偏ることがありません。通常のブラジャーを着けて寝る方も3割位いらっしゃるようですが、あれは直立時に下から支えるものなので、寝てしまうとその機能が全く活かされません。

・ワイヤーって必要なの？

• はい。バストのお肉の塊は重みがあるので、下に下にと重力で引っ張られてしまいます。バスト下のU字の孤を、ワイヤーで下から引き上げて頂いた方が、きれいに持ち上がります。バストをより立体的に保とうとするには、ワイヤーがあった方がいいですね。

・ワイヤーのない「シームレスブラ」の方が、ラクな気がしてしまうのですが……。

• ワイヤーのU字が体に合っていないことも、あるのでしょう。このU字は、20代と40代では違うんですよ。U字をきっちり合わせて頂くように、販売員はチェックします。無理のないU字までは寄せることができても、それより細くすると跡が付いたり痛くなったりしてしまうので、その場合はサイズを１つ上げます。カップが違うと、孤の大きさも違うんです。普段着けていたものより、販売員が１つ上のカップをオススメするのは、孤の大きさを調整するため。左右の大きさが違う場合は、パッドでフィット感を補います。

・パッドって、着けるべき？

• パッドの有無は、ご自身の好みでいいんですよ。パッドがあった方が、よりふっくらと膨らみができるという場合はお使い頂いてもいいですし、ない方がすっきり見えてはまるようであれば、なくても大丈夫。試着段階ではパッド有りで着けて頂きますが、パッドがお嫌いな方は、ない状態で合わせて頂ければいいと思います。孤の大きさを調節するためにカップを上げると、トップ部分が余ることがあるため、パッドを着けた方がいいと提案される場合も。パッドの組み合わせで微調整をするんです。

お話を伺って、試着は本当に必要なのだと、ますます思いました！

• そうです、販売員に見てもらった方がいいですよ。ドレスなどの洋服も種類によっては、１カップ上げた方が決まる場合があります。実は、ウェディング・ドレスはCカップ以上で決まるようなデザインで作られていることが多いのです。そういう時にはちょっと大きめのブラジャーを購入し、パッドできっちり調節すると、より美しく見えます。サイズにとらわれるよりは、そのシルエットをどう見せたいかを考え、工夫をして頂くといいでしょう。
  少し前まで「パッドを入れるのは上げ底風」と、自分の弱点を再認識するような、後ろめたい気持ちもあったようですが、今はもっと積極的に使われています。パッドの入れ方によって、バストのふくらみの表情が変わるんですね。パッドを上手に使い分ける方もいらっしゃいますよ。

ワコールさんにアドバイスしてもらって、実際にブラジャーを試着してみました。プロの目からサイズをみて頂いて、現在のサイズと同じもの（ビフォー）と、プロに見立てて頂いたもの（アフター）を、試着して比べてみました。わかるでしょうか？？

これがプロに見立てて頂いたDカップ（アフター）。やはり１カップ上がりました。こちらの方が着ていてラク！　写真では少し分かりにくいですが、トップの位置も高くなっています。

これは、普段身に着けているものと同じCカップ（ビフォー）。身に着けていて違和感ないし、ジャズトサイズに思えます。パッと見た状態でも、合っているように見えますが……？

ブラジャーが長持ちするお手入れ法

試着して購入した大切なブラジャー、せっかくなら長持ちさせたいですよね。でも、ブラジャーって、どのくらい使えるの？　替え時は？　洗濯の仕方や干し方は？購入した後のブラジャーの扱い方についても伺ってみました。

・ブラジャーの使用期限は？

• 当社の商品は厳しい試験をくぐっているので、
  丁寧な手洗い（振り洗い）を続けて頂ければ、
  何年でも持ちます。

・ブラジャーの替え時は？

• まずは、ゴムが伸びてしまった時や、生地がもろくなってしまった時。サイズが変わってしまうんですね。それと、ワイヤーが変形した時。手洗いが基本なのですが、脱水機をかけた時にワイヤーが変形することが多いようです。その時は使わないでください。

・ブラジャーの洗濯法と干し方は？

• 洗濯は、手洗い（振り洗い）でお願いします。干す時は、伸びない素材のところを洗濯バサミではさんで頂いた方がいいので、アンダーの部分か、カップの三角形の頂点の部分を、左右２箇所洗濯バサミではさみます。肩紐をはさんで干すと、肩紐が伸びてしまうので要注意。場所がないからと、脇の部分を１箇所だけ洗濯バサミではさんで……というのをよく目にしますが、これではアンダーバストが伸びてしまって、サイズが変わってしまいます。それでしたら、左右のカップを繋ぐ中央の部分を、洗濯バサミではさむようにするといいでしょう。ゴムなどの伸びやすい場所をはさむのは避けて、負担を減らすことが大切です。あと、直射日光に当てると、ゴムがもろくなったり生地が固くなったりと、素材が変質してしまうため、陰干しでお願いします。

片方だけ脇をつまんでビローンと干すと、形が変わってしまいます。アンダーの部分か、カップの三角の上の部分、基本２箇所を洗濯バサミで留めて。スペースがない場合は、中央部分をつまむようにして干します。

　今回取材をさせて頂いて、目から鱗が落ちること多々ありました。ブラジャーは毎日身に着けているものなのに、選び方や着け方、干し方など知らないことが多過ぎ...。　試着してプロの販売員にみてもらった方がいいことは分かっていても、U字の孤の大きさに合わせることや、服を着た時のラインの美しさなど、試着の奥深さまでは知りませんでした。
　靴は試着して買いますよね？　ブラジャーも同じ。というより、靴よりも身に着けている時間が長い分、ブラジャーはもっと慎重に選ばなければいけないみたい。
　ブラジャーを試着してフィットするものに変えたら、もっとカッコよく着られる服が増えるのかも。ドレスなどの見せ方によって、ブラジャーはもっとポジティブに選んでいいものなんですね。
　30代、40代は、女性の体が大きく変わる時期。一度も試着をしたことのない方、一度ワコールの販売員に、プロの目からアドバイスしてもらってみませんか？　年齢とともに体型が変化していくという現実から逃げずに、その年齢にぴったりのブラジャーを、ポジティブに選びたいですね。